第5回:「オバマ候補勝利の裏には”データ・インサイト” があった」


 

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 データ・インサイトの能力を支える土台部分、「データ分析クアドラント」

第3回第4回はロジカル・シンキングの鉄則パターンを解説した。

やみくもにデータ分析しても『ビールと魚肉ソーセージがいっしょに売れている』といった、役にたたない情報しか見出だせない。

ビッグデータ時代に勝ち残るにはビジネスのドミノスイッチをONにする『データ・インサイト』を見いだすことが必要不可欠である。

先日の米国大統領選挙においても、オバマ躍進の裏には、ビッグデータを駆使した選挙戦略をねるデータサイエンティストの存在があった。

世論調査の結果を細かく分析し、予測モデルを組み立て、オバマ陣営の”接戦州”での圧倒的勝利に繋がったのである。

票を持っている特定のエリアの女性層はあるハリウッドスターが好きだという相関関係を見出したら、すぐにそのスターの家で一緒にパーティを開催したという話はネットでも散見される話題だ。

その他にも、有権者の属性分析で6つの異なるタイプの文章を作成し、配信する戦術は、キャンペーンマネージメントでも利用されているテクニックだが、大きく内容を変えた文章を配信するにはするどい洞察と周到な準備が必要である。
実際のメール文章参考サイト
目的に合致した適切なデータ分析をするための、洞察力、問題解決力、本質を伝える力を「データ・インサイト」と呼ぶことにしよう。

 

今回はこのデータ・インサイトの能力を支える土台部分、「データ分析クアドラント」を紹介する。

データ分析クアドラント(Stat Quadrant)は「分析軸」と「データ分析軸」で構成される。まずは、下図を参照していただきたい。

非常に大事なマトリックスである。これを覚えておくだけで営業、マーケティング系のビジネスパーソンは十分なスキルアップが期待できる。
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比較・構成・変化

「分析軸」として比較・構成・変化をあげているが、これが単純化したビジネスモデルや仮説を分析する際の基本軸となる。
比較:文字通り対象どうしを比較する。期間比較(過去との比較)、相対比較(競争あいてとの比較)、絶対基準比較(予算との比較のように基準値との比較)が基本中の基本。
構成:全体と部分を比較する
変化:時系列で比較することで変化を見いだす。

 

 

論理的関係性を示すところからはじめる

「課題」をイッシューと呼ぼうが、ミッションと云おうが、簡潔に課題を表現するには事実データの力を借りると良い。

だれもが認める、課題を表現するには、なぜそれが課題といえるか「根拠」としての事実データが必要だ。

さらに、そのデータを見る上で必要な「前提」を明確にしたほうが切れ味が増すのは云うまでもないが、「根拠」も「前提」も「筋のよい」仮説やストーリーには必須の要素といえる。

 

つまり起きている事実を捉え、そこにあるデータを「1番目、2、3・・」とみわたして「規則性や法則性の発見」から「課題」の根拠になる糸口をみいだすという思考経過をたどるように、「課題」とデータのあいだに成り立つ論理的関係性を示すことからはじめる。

 

第3回コラムの例で云えば、『予算をたてたら、いきなり西東京営業所以外はすべて未達であった』という事実を伝え、同時に「西東京営業所」は過去も安定して達成しているという「規則性や法則性」についてパッと見てわかるようにすればよい。

統計センスあるヒトなら2012/04の予実差異分析結果を表示し、過去1年間の営業所別の予実差異を折れ線グラフで示すだろう。
つまり、予算という基準値と比較するだけでなく、過去1年さかのぼって期間比較を行うことで「西東京営業所」は過去も安定して達成しているという「規則性や法則性」についてパッと見てわかるようにするのだ。
 

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Figure 1予実績差異

 

このあとは、『何故ならば。。。』と課題の根拠をグラフで示す。原因になっている事象と結果の関係をグラフ化して根拠をパッと見てわかるようにすればよい。
つまり、ロジカルに説明するストーリーにそって必要なデータを“見える化”することがコツだ。

選挙だけで終わらない、ビッグデータとデータインサイトのビジネス活用

 

ここまでで、データの裏づけのないロジカル・シンキングは効果が見込めないのは(ぼんやりとでも)お分かりいただけただろう。

ビジネスでは、核心を突くポイントを見つけ、そのポイントを裏付ける必要がある。

簡単に表現すると

 

「見つける」能力が「データインサイト」


「裏付ける」手法が「データ分析クアドラント」

 

ということになる。

 

今回のコラムで、基本的な要素はお話させていただいた。しかし、選挙資金10億ドル(800億円)と言われているオバマ大統領の事例をそのまま見ては、規模が大きすぎて参考にならないだろう。

今後はさらに具体的なサンプルや、ツールの使い方など、より実践的な内容に踏み込んで、皆さまのビジネスのお役に立ちたい。